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不安障害

Anxiety Disorder

不安障害|トモニこころのクリニック|東京都小平市の心療内科・精神科

不安障害とは

不安障害とは

不安とは何でしょう。当然、安心の対義語ですが、心配とも少し違います。誰がみても当然という懸念は心配に当たるでしょうが、不安というのは、おそらくその人にしか分かりません。すこし、妄想に近い感覚です。そして、不安のない人はいないでしょう。

不安というものは、危険から身を守るために備わっている人間の基本的な機能です。不安を感じることによって、危険を回避することができます。この機能は生きていくためには必要ですが、時に日常生活に支障をきたす程のものになることがあります。この状態が不安障害です。

不安障害には、前触れもなく、突然、動悸や息苦しさの症状が現れるパニック発作を主症状とするパニック障害、さまざまな出来事、活動に対して不安を過剰に持つ全般性不安障害、特定の状況、例えば電車など閉じられた空間に不安・恐怖を感じる空間恐怖(広場恐怖)、人前での会話に不安を感じる社会不安障害(対人恐怖)などがあります。

パニック障害

突然、理由もなく眩暈や動悸、吐き気、発汗、窒息感、手足の震えといった、神経症状、消化器症状、皮膚症状、呼吸器症状などさまざまな身体症状が起こります(不安発作)。このパニック発作は、ときに、死んでしまうのではないかと思うほど強く、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようと不安になり(予期不安)、発作が起きやすい場所や状況を避けるまでになると生活に支障をきたすことになります。これらの身体症状は、不安が身体化しただけのものですから、内科や救急を受診し、検査をしても異常はみあたりません。このようなエピソードを引き起こすパニック障害では、薬物療法がよく奏効することがあり、生活に支障をきたす前に専門家を受診することをお勧めします。

パニック障害の原因

不安は人間が生きるための基本的な機能で、その機能をつかさどる脳の局所は扁桃体です。扁桃体の過剰な興奮がひとつの原因とは考えられていますが、完全には分かっていません。心理学的要因も抜きには考えられません。

パニック障害の治療

パニック発作や予期不安など、パニック障害の症状の緩和には、薬物療法が有効なことが多いです。不安について、根本的に治療を試みるには、特殊な精神療法も有効です。薬物療法では、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬少量と、ベンゾジアゼピン系薬剤などの抗不安薬が有効です。抗不安薬には、眠気を催したり、依存性を形成したり、効果の減弱がみられたりしますが、即効性があります。一方、抗うつ薬には、即効性がありませんが、安定した効果が見込めます。これらの薬剤を組み合わせて、身体の負担にならないように、また、将来、減薬、中止を試みることができるように処方を組み合わせます。

身体症状症(身体表現性障害)

身体症状症は、以前は身体表現性障害とか、転換性障害(不安が身体症状に転換された障害)と呼ばれていました。医学・生理学的に説明が難しい身体の症状が続く状態を指します。この症状は、頭痛や腹痛、疲労感、しびれなど、多岐にわたります。特徴的なのは、日常生活に支障をきたすほど深刻な身体症状について、身体的な検査では異常を確認できないということです。この症状は、こころの不安と深く関係しています。

不安は人間にとって必要な機能で、不安に対処する仕方は人によって様々です。無意識に発作を起こして、危険を回避すること人もあれば、不安と認識せずに、無意識に身体の症状として不安を現すことで、現実環境にある意味適応することも可能になるでしょう。

身体症状症(身体表現性障害)の原因

身体症状症の原因は、こころと身体の両方が関係しています。しばしば見られるのは、ずっと以前に不調があった身体の部位に、ストレスで症状が現れているパターンです。大きな要因の一つは感じることのできない不安で、不安について不安だと感じることに、こころの抵抗があると、行き場のなくなった不安が、以前に弱ったことのある身体の部位に身体化した症状として感じられることがあります。しかし、現在、その身体部位には問題がないため、身体的な検査をしても異常は見当たらないということになります。

身体症状症はいわゆる「気のせい」ではなく、こころと身体がつながった結果として現れる本当の体験です。専門家の助けを借りながら、原因を理解し、向き合うことが大切です。

身体症状症(身体表現性障害)の治療

身体症状症の治療には、薬物療法と精神療法が有効です。薬物療法では、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やベンゾジアゼピン系抗不安薬を用いて、不安を緩和する治療が主になります。精神療法では、不安を不安と感じられないことが問題になるため、不安を感じても、治療者を得ている現在では、安全であることを体験できるような、また身体化した症状が何を意味するのか洞察を促すような精神分析的な精神療法も有効です。

強迫性障害

強迫性障害は、自分の意思とは関係なく、繰り返し浮かんでくる考えや感情(強迫観念)や、それに対処するために繰り返してしまう行動(強迫行為)に悩まされる病気です。この障害では、自分の考えや行動が過剰(いきすぎ)であると意識では理解していますが、それを抑えるのが難しいとも感じます。

例えば、「手が汚れているかもしれない」という強い不安が頭に浮かび、それを消すために何度も手を洗うという行動は典型的例です。また、「ドアをちゃんと閉めたか」や「ガスの元栓を閉めたか」といった不安から、何度も確認を繰り返すこともあります。これらの行動は一時的に安心感を得ることができても、再び不安が生じ、同じ行動を繰り返す悪循環に陥ることが多いです。

強迫性障害は、日常生活に大きな影響を与えることがありますが、適切な治療で改善が期待できます。この病気には、本人に自覚があるだけに、特殊な辛さがあります。専門家の支援を受け、早く楽な状態を目指すことをお勧めします。

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因は完全には解明されていません。遺伝的要因として、強迫性障害を持つ家族がいる場合、発症リスクが高まることがわかっています。これは遺伝的な脳の機能の違いに関連している可能性があります。脳の異常では、セロトニンという神経伝達物質の働きに問題があることが示唆されています。また、前頭葉や基底核といった脳の特定の領域の機能異常が、強迫観念や行動の制御困難に影響を与えている可能性が指摘されています。環境的要因として、幼少期のストレスやトラウマ、大きな生活の変化などが、強迫性障害の発症を引き起こすことがあります。これらの要因が単独または組み合わさることで発症リスクが高まると考えられています。

強迫性障害の治療

強迫性障害の治療には、まずは、薬物療法が用いられます。十分な用量のSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が必要となることが多いです。適宜、ベンゾジアゼピン系抗不安薬用いたり、場合によっては他の向精神薬を用いたりして、不安の緩和を目指します。精神療法では、特に効果が認められているのが認知行動療法(CBT)です。

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