「ストレス」と「不安」の違いについて
はじめに
「ストレス」と「不安」という言葉は、普段の会話でもよく耳にします。同じようなことを表しているように感じられますが、実は違うことを指しています。この記事では、その違いを日常の例を交えてわかりやすく説明してみたいと思います。
誰でも一度は経験したことのある感覚ですので、「あ、これは自分のことだ」と思いながら読んでいただければ幸いです。
ストレスとは?
ストレスというのは、自分の外にある「負担に感じるものごと」のことです。
お仕事をされているならば、難しく感じる業務上の課題や、あまり受けたくない上司からの指示、好ましくない同僚とのコミュニケーションなどがあるでしょう。高校生であまりクラスになじめないならば、学校に行くこと自体がストレスかもしれません。大学生ならば、地元を離れての初めての一人暮らしや、提出しなければならない課題などがストレスになるかもしれません。
このように、ストレスの形は人によってさまざまです。「私にも思い当たることがあるな」と感じる方も多いのではないでしょうか。
不安とは?
一方、不安というのは、ストレスを受けてこころの中に生じる感覚です。
例えば、「この課題をこなせなかったら評価がさがるだろうか」「あの上司からの指示どおりにしても、結局なにかと怒られるのではないか」「学校に行っても一人で過ごすことになるのではないか」「一人で暮らせるだろうか」などが挙げられます。
つまり、ストレスが外からの刺激であるのに対し、不安は心の中で膨らんでいく反応だといえます。誰でも一度は、夜に考えすぎて眠れなくなった経験があるのではないでしょうか。
ストレスと不安の違い
まとめると、ストレスは外からの刺激、不安は心の中で生じる反応という違いがあります。
ストレスそのものは必ずしも悪いものではありません。適度なストレスは考える力や対処する力を養い、自己肯定感を高めることにつながります。身体を鍛えるのに、負荷をかけて筋肉をつけることに似ています。
しかし、不安は少し様子が違います。不安には「気にしなくてもよいとわかっているのに、どうしても気になってしまう空想(妄想的な考え)」が伴いやすいのです。
日常でできるセルフケア
不安やストレスを和らげるために、日常でできるちょっとした工夫もあります。
例えば、深呼吸をしてみる、軽く体を動かす、気分転換に散歩をする、ノートに考えを書き出すなどです。小さな工夫でも、こころが少し落ち着いたり、不安が整理されたりすることがあります。誰か信頼できる人に話すことも、気持ちを軽くする大切な方法です。
「特別なことをしなくてもいい、ちょっとした習慣がこころを支える」と覚えておくだけでも安心につながります。
不安との向き合い方
不安を感じたときに、誰かに話してこころが軽くなった体験をされた方も多いのではないでしょうか。でも、不安が起きている状況によっては、誰にでも相談できるわけではないかもしれません。不安は心の中にくすぶり続け、普段なら難なくできる仕事や学業、人間関係に支障をきたすことがあります。また、夜寝るときに頭の中でぐるぐると考え続けてしまい、眠れなくなることもあります。こうした状態は誰にでも起こり得ることですが、続くととてもつらいものです。そのような事態になったら、我慢せずに専門家にその不安について相談してみてください。きっと専門家はあなたのご不安に静かに耳を傾けると思います。その結果、あなたのこころは軽くなり、不安は和らぐかもしれません。